山田奈々子 高田せい子作品「母」復元の記録

DAiJ2014 高田せい子「母」写真1(6/6,7)、写真2/写真3(6/8)

 

 

「無事、追加公演まで満席のお客様を迎え盛況裡に打上げほっと致しました。
「母」は、高田先生の想いと安藤さんの振りを源に、私のイメージを加えて試行錯誤1年、ダブルキャストのダンサーと稽古を重ね仕上げました。年配の方々にも若い観客にも感動して頂き、昭和は凄いと改めて目を見張る思いです。」

公演を終えた翌日、映像を提供して下さった先輩安藤哲子さんに送った手紙の一部です。5分の作品に1年の準備期間があるのはめったにないことだと今になって思います。正田先生(正田千鶴DAiJ企画運営委員会代表)にダンスアーカイヴへの参加依頼を頂いた折には、高田先生は再現出来ませんと辞退致しました。ソロ作品は、振りは残っていてもその舞踊家が亡くなった時その踊りも消えると思っていたからです。踊りはとどまらない、流れ去るからこそ、その燃えつくす一瞬が貴重で美しいと思うのです。

その後、新国立の打ち合わせ会に伺い、望月さん(望月辰夫 新国立劇場 制作部 舞踊チーフプロデューサー)からも、コピーではなく、貴女の中にある高田せい子を再現して下さいと言われました。安藤さんの映像を拝見して、ダブるように高田先生がいらっしゃるのを感じました。

ダンサーを通して、高田せい子の「母という作品への想い」を甦らせる貴重なチャンスに挑んでみようと心に決めたのです。

スタートは現代舞踊協会の夏期舞踊大学講座。猛暑の中、北から南から数十名の方の参加があり、熱気は私の想像を超えていました。最後に、ヴェテランも高校生も女性も男性も全員で踊った「母」。それぞれが母を思って踊られたのでしょう、最後の音が消えた時、ダンサーも観ていた方からも自然に拍手が湧き上がり感動しました。

12月、馬場ひかりさん、加賀谷香さんとの稽古スタート。新国立のリハーサル室へと通う日々が続きました。稽古を重ねるうち、振りから作品へと進展して行く過程が楽しく素敵な時間でした。ある日、お二人が踊っている中に高田先生が、一緒にひらひらと舞う姿を見ました。ああ、きっと喜んでいらっしゃる!

高田せい子、安藤哲子、馬場ひかり、加賀谷香、皆違います。でもその想いは継承されたのだと思います。
―――――――――――――――――
女性創作舞踊家第1号であったと言われる高田せい子の作品は、心に浮かぶ詩的現象を、身体と音楽との融合により感覚的に表現している。
「母」
母の大きな愛と、強さ、そして子供を授かった感謝を神に捧げる美しい姿を描いている。
5分間でドラマを完結させている珠玉の小品。
―――――――――――――――――

2015年11月7日、あうるすぽっとの舞台で「母」を踊りました。
私の心を込めて
新国立劇場・現代舞踊協会に感謝申し上げております。

 

 

日時
2014年6月6日(金) 開演19:00
2014年6月7日(土) 開演15:00
2014年6月8日(日) 開演15:00
会場
新国立劇場 中劇場
チケット
A席 5,400円 B席 3,240円
主催
新国立劇場
出演者
加賀谷 香(6,7日)/馬場ひかり(8日)

DAiJ2014 高田せい子「母」

作品責任者:山田奈々子

高田せい子作品「母」復元の記録