第37回(令和元年)江口隆哉賞 授賞者のお知らせ

2020.04.24

第37回江口隆哉賞授賞者が山田うん氏に決定しましたのでお知らせいたします。

【受賞のことば】
このたびは第37回江口隆哉賞授与という身に余る過大な評価を頂き、心より厚く御礼を申し上げます。

13歳で舞踊を学んだ師、故・山崎花江は江口隆哉氏の月曜会に学び、現代舞踊の道に入りました。師の学びあっての私の学び。偉大な舞踊家の仕事とは、目に見えない形で、過去と未来を力強く繋ぎ、次世代の誰かが渡る橋を作るダイナミズムなのだと深く感じます。そして私を押し上げてくれる全ての出来事、出会い、仲間達に感謝いたします。

今、2020年の真っ只中。現実の扉だけが開きっぱなしで、舞踊の奇跡が起こる場には鍵がかかっています。このような事態になるとこれまでの世界が健全だったようにも思えますが、果たして数ヶ月前までの舞踊芸術の行く先はどうだったのだろうとも思い、加速しすぎた時間の流れを取り戻すかのような舞踊の奇跡は今なのではないかとも思います。誰もいない稽古場で踊りながら、時折じっと目を閉じて、今、何を見つめ、これからの時代に何を指し示すことができるだろう、と考えております。

どんな困難な時代でも、どんな平和な時代でも、太古からそうであるように舞踊は尊い表現として存在し続けなくてはならないと思っています。これまでもそうであったようにこれからも。無力な踊りなど一つもないのですから。

私にとって舞踊を生み出すことは、自然と秩序と混沌の中で、自由を生成する姿勢です。生命のための舞踊を追求し、未来に橋を架けられるような領域へ、恐れず、丁寧に、大胆に、精進して参りたいと思います。受賞のことばを通して、世界中のあらゆる立場の人々の無事と健康を祈りながら。

 

 

 

 

 

 

山田うん(撮影:Hal kuzuya)

 

※江口隆哉賞
わが国における現代舞踊の振興と協会の繁栄に尽力した故江口隆哉元会長の功績を記念して、1983年に制定されたもっとも権威ある現代舞踊賞です。毎年1月1日~12月31日までの期間、優れた現代舞踊作品を創作発表した作者に対し、過去の実績を加味し授与しています。

第37回江口隆哉賞選考委員 舞踊評論家 うらわまこと(委員長) 佐々木涼子 立木燁子 林愛子
一般社団法人現代舞踊協会 副会長 池田瑞臣 同常務理事 正田千鶴 同理事 松永雅彦 同理事長 花輪洋治

一般社団法人現代舞踊協会制定 第37回江口隆哉賞 山田うん


「いきのね」あいちトリエンナーレ2016(撮影:Naoshi Hatori)

受賞理由
山田うんは、器械体操、バレエ、舞踏などを経験、1996 年から振付作品を手がけ始める。2002年にみずからのカンパニー、Co.山田うんを設立、ダンスだけでなく、オペラ、演劇、アニメの振付、 ファッションブランドとのコラボレーションなど広い分野で活動を行っている。これまで多くの作 品を発表、日本ダンスフォーラム大賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など受賞も多い。また文化庁文化交流使もつとめた。

2019 年には、2 月に KAAT 神奈川芸術劇場で、あいちトリエンナーレ 2016 で発表した、天竜川水系での伝統的神事芸能・重要無形民俗文化財「花祭」へのオマージュとして振付・演出した『いきのね』を改訂して上演、民俗性と現代性を兼ね備えたダイナミックで祝祭的な空間を創造した。 これ以外にも、5月には世田谷パブリックシアターで優れた音楽感覚によって多彩な動きを紡ぎ上げた『プレリュード』を初演。さらに 8 月には日生劇場ファミリーフェスティバル 2019 で音楽劇 『あらしのよるに』を振付、9月には愛知県芸術劇場にてピアニスト高橋悠治との3日間公演。最近では 2020 年 1 月に KAAT 神奈川芸術劇場で如月小春原作の 『NOPPON ・CHA!CHA!CHA!』を構成・振付・演出し、みずからも俳優として出演するなど、 その活動は多彩、積極的である。
略歴
1996年振付活動を開始。横浜STスポットにてダンスの企画制作を開始。
1998年ソロ活動開始。
1999年文化庁派遣国内インターンシップ研修員として国内のダンス環境を調査研究。
2000年横浜ダンスコレクション「若手振付家のための在日フランス大使館賞」受賞。
2002年ダンスカンパニーCo.山田うん”設立。
2004年「ワン◆ピース」「w.i.f.e」発表。国内外ツアーが活発化する。
2014年「ディクテ」「春の祭典」「結婚」カンパニー活動を評価され「第8回日本ダンスフォーラム大賞」受賞。
2015年「十三夜」等を評価され第65回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
2016年 あいちトリエンナーレ委嘱作品「いきのね」発表。
2017年 文化庁文化交流使として11カ国23都市を訪問。
2020年 初の演劇演出「NIPPON・CHA!CHA!CHA」演劇版ダンス版上演