令和6年度 河上鈴子記念現代舞踊フェスティバル賞、現代舞踊フェスティバルチャコット賞

2025.03.23

一般社団法人現代舞踊協会制定 令和6年度「河上鈴子記念現代舞踊フェスティバル賞」、チャコット株式会社制定「現代舞踊フェスティバルチャコット賞」が決定しました。この賞は11月30日サンケイホールブリーゼ(大阪市)において行われました、令和6年度舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成)現代舞踊新進芸術家育成Project 3「全国新進舞踊家による現代舞踊フェスティバルinおおさか」に参加の対象団体の中から厳正な審査を経て選考しました。

一般社団法人現代舞踊協会制定 令和6年度 河上鈴子記念現代舞踊フェスティバル賞 折田克子(石井みどり・折田克子舞踊研究所)


作品「裸足のカノン」 撮影:テス・大阪

受賞理由
受賞作品「 裸足のカノン」
2018 年に逝去した折田克子が42年前(1982年)に、とくに若いダンサーのために振付けた歴史的な名作。前半はサイレント(無音)、後半はパッヘルベルの有名な音楽「カノン」を使い、タイトルどおり、裸足、すなわちダンサーとして重要な足の裏を意識させながらのダンスというユニークな発想で、作品として見事にまとめ上げている。この名作を石井みどり・折田克子舞踊研究所の藤田恭子の指導でしっかりと再現。今回は若いダンサーたち12名で、まず床を強く踏み、あるいは足の裏を確かめながら、群舞で、また2人ずつ組み合うなど、カノン形式を思わせる複雑につながる振付けに挑戦、この作品の価値を実現した。さらに、この体験は若いダンサーたちにとっても将来への大きな糧になると思われる。名作の再現だけでなく、それを踊った若いダンサーたちの成長という、大きな効果があり、文化庁の助成目的にも合致している。
略歴
10代で東京新聞主催全国舞踊コンクール文部大臣賞を3度受賞、初リサイタルも開く。1961年、母であり師である石井みどりの作品「体」にて現代舞踊初の個人演技賞を受賞、1968年第2回文化庁芸術家在外研修員に現代舞踊で初めて選出され1年間渡米するなど舞踊家として最先端を走り続けた。舞踊作家としても常に意欲的に作品を作り続け、1987年作品「パラダイス・ロスト」で最優秀作品賞、現代舞踊協会制定江口隆哉賞を受賞した他、数々の賞を受賞。新国立劇場のオープニングにおいては記念公演マスターワークスに選ばれ、海外公演では「ストライキングパワフル」と現地新聞で評されるなど国内外で、さらには音楽界、演劇界においても活動が展開された。2003年紫綬褒章、2009年に旭日小綬章を受章。2018年80歳で永眠。2018年10月石井みどり、折田克子の意志を継承したく一般社団法人石井みどり・折田克子舞踊研究所を設立し現在に至る。

チャコット株式会社制定 令和6年度 現代舞踊フェスティバルチャコット賞 小澤尚子


作品「 Fagiano-勇壮な雉-」 撮影:テス・大阪

受賞理由
受賞作品「 Fagiano-勇壮な雉-」
演出・振付の小澤尚子は、大学時代に全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)で文部科学大臣賞を受賞する等、創作ダンスと熱心に向き合ってきた。その一方で、チアダンスのコーチとしてアジア・世界で好成績をおさめた経歴も持つ。現在は環太平洋大学で教鞭を執るかたわら、協会の事業にも作品を発表しているが、今回はとくにこれまでのキャリアを強く感じさせる作品ということができる。桃太郎を生んだ岡山県を象徴する鳥、雉に扮した振付者本人を含む22名が、モダンにクラシックの技法も交えた複雑なフォーメーションで、スピーディにはつらつと踊り、壮快さを感じさせた。作品としてはやや未完成なところもあるが、若い振付者、ダンサーの育成の場にふさわしい作品といえるし、さらに雉に勇気づけられるとともに、岡山の力を示し、また応援の意味も感じられて、チャコット賞の目的にも合致している。
略歴
福岡県出身。高校ダンス部にて松尾京子氏に師事。大学モダンダンス部にて坂本秀子氏に師事。大学助手、高校教員を経て日本女子体育大学大学院修士課程(スポーツ科学)修了。全日本高校大学ダンスフェスティバル文部科学大臣賞受賞、はつかいちバレエコンクール特別指導者賞受賞ほか。学校教育の中で学んだ「創作ダンス」に魅了され、舞踊教育について研究している。現在、IPU・環太平洋大学次世代教育学部講師、兼ダンス部監督。