Dance Archive - ダンス・アーカイヴ in Japan

ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018 舞踊評論 – 原田広美

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

■モダン・ダンスと現代舞踊の関係性を考える~「ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018 戦後日本の3人の異才たち-藤井 公・若松美黄・庄司 裕-」を媒介に
原田広美(artissue-WEB12 )

日本でも「コンテンポラリー・ダンス」の時代が始まって以降(おおよそ1990年前後から)、特に若い世代を中心に、「モダン・ダンス=現代舞踊」という捉え方が一般的になったと感じられる時期があった。その後、あらためて(一社)現代舞踊協会を中心とする「現代舞踊」の側から、コンテンポラリー・ダンス、舞踏、バレエなどをその範疇(はんちゅう)に入れて再考しようとする動きも、活発化したように思う。そのような「現代舞踊」への周囲からの視線や理解の仕方を含め、その内実を考察するためにも、国内外の舞踊の歴史を踏まえつつ、今回の催しを見てゆきたい。

そもそも「現代舞踊」を英訳すれば、「コンテンポラリー・ダンス」だ、というのが私の考え方である。逆に「コンテンポラリー・ダンス」を邦訳すれば、「同時代の、現代の、今日的なダンス」であろう。さらに「コンテンポラリー」という語の対極は「クラシック」で、洋舞では「クラシック・バレエ」がそれにあたる。たとえば『日本の現代舞踊のパイオニアー創造の自由がもたらした革新性を照射するー』(監修:片岡康子/新国立劇場情報センター)※1でも、第1章は、明治末年に帝国劇場で「クラシック・バレエ」を教えるために来日したイタリア人教師ローシーに学んで活躍した後、反旗を翻して独自の舞踊を始めた石井漠(1886~1962)にあてられている。そして、それが日本の「モダンダンス」のはじまりとなった。

ところで国際的な舞踊の歴史をたどれば、前世紀初頭から(舞踊の)モダニズムあるいは「モダン・ダンス」「モダン・バレエ」につながる動きは、始まっていた。主だった所では、アメリカから渡欧したイサドラ・ダンカンや、パリを本拠地とした「バレエ・リュス」が、各々「モダン・ダンス」と「モダン・バレエ」につながる前衛的なさきがけとなった。さらに「モダン・ダンス」では、「ドイツ表現主義舞踊(ノイエ・タンツ=ドイツ語:新しいダンス)」が勃興したが、ナチスとの関係を免れ得なかったために戦後は下火となり、代わって戦前のアメリカで始まったマーサ・グレアムに代表される「モダン・ダンス」が花を咲かせた。

日本の「現代舞踊」のパイオニア達は、戦前に「ドイツ表現主義舞踊(ノイエ・タンツ)」を学びに渡欧した者が少なくなく、戦前に渡欧してツアーをした上述の石井漠も、その独自の舞踊を「ノイエ・タンツ」と称していた。そして戦後になり、マーサ・グレアムの「モダン・ダンス」のメソッドの講習会が、進駐軍によって日本にもたらされた。一方、「モダン・バレエ」は、「バレエ・リュス」の振付家としてデビューした後に渡米し、「アブストラクト(抽象)・バレエ」を打ち立てたバランシン、フランスのローラン・プティ、フランスからベルギーに本拠地を移したベジャールに代表されたが、現在の「現代舞踊」のグループと人脈的に最も近い関係にあるのはベジャールである。

さて、舞踊史をコンパクトに振り返ったが、その上で今回の〈戦後日本の3人の異才たち〉による3作品を見て行こう。まず第一部は、藤井公(1928~2008)・利子による構成・演出・振付『砂漠のミイラ』Mummies in the desert(1993年初演)。藤井公は、小森敏(1887~1951/欧州の歌劇場などで活躍後1936年に帰国)に、共に学んだ妻の利子と、1961年に「東京創作舞踊団」を結成し、2008年まで作品を発表。埼玉県舞踊協会を設立した。師の小森は、上記の舞踊史の中の「モダン・ダンス」とは一線を画し、おおむね日本舞踊をベースにした東洋的な身体性に、バレエの律動を生かした気品のある独自の舞踊を踊ったようだ(※1の第2章、執筆=杉山千鶴を参照)。

本作は、<死や無限>を意味する名のタクラマカン砂漠(新疆ウイグル自治区)に眠る、ミイラをテーマにした約1時間の大作。2003年にはローランの美女を始めとするミイラ群発見のニュースもあったが、これはそれに先立つ作品である。原案は、秋谷豊詩集「砂漠のミイラ」。ホリゾントには、薄い夕焼け色の空の下に赤茶けた色で広がる砂漠が遠景で映される。アオザイ(ベトナムの女性の民族衣装)風の白い衣装をまとった20人ほどの男女と、途中からは、最後にミイラ役で現れる男女一対の生前の役を踊る〈青い衣装の清水フミヒト〉と〈紅色の衣装の吉垣恵美〉が加わった。

物語はなく、軽妙な〈身体各部の動き〉を舞踊に融合させ、フォーメーションの移動も多い7つの構成シーンを〈ミイラの命を源とした夢想〉のように重ねてゆく。最後の場面では、2000年のあいだ眠り続けたという〈男女一対のミイラ〉に扮した2人が、舞台の中央に横たわる。ともあれ上演時間の長さを感じさせないのは、見事であった。

当日のプログラムに掲載された文章には、「藤井作品は時代への深い反発を経て、『北斎、今』に代表される軽妙洒脱な世界へ。/そしてミニマルな身体のリズムを刻むコンテンポラリーな作品『砂漠のミイラ』へと繋がっていった。/蜃気楼(シンキロウ)→吐魯蕃(トルファン)→吟遊詩人→流沙→魂の共鳴→飛天→砂漠のミイラ」とある。

ミニマルという言葉のとおり、伝統的な舞踊の大技としての回転やジャンプなどの身体技は見られない。だが場面ごとに、身体をさまざまに分節的に用いて、あるいは関節からの動きを効果的に組み合わせ、床に身体をつける動きを含め、衣装や砂漠の地域性、各場面の雰囲気に合致したオリエンタルなテイストの動きが、軽やかにシンプルなタッチで流れるように紡がれて行った。ここで言うオリエンタルなテイストとは、動きの質が、曲線的というより直線的であることを含む。

ミニマルという語は、舞踊では「モダン・ダンス」の後、ニューヨークを中心に展開された「ポスト・モダン・ダンス」以降に、用いられた。また、プログラムの中の文章は「ミニマルな身体のリズムを刻むコンテンポラリーな作品」と続くわけだが、この日の3作品の中で、最も「コンテンポラリーな身体性」を私に感じさせたのは、確かにこの作品だった。

ここで私が「コンテンポラリーな身体性」を感じたと書いたのは、「モダン・ダンス」の形式を伴う重厚さ、またそれに対抗的な「ポスト・モダン・ダンス」の風味を代表するミニマリズムやニュートラル(中立性)を超えて、ミニマルではあるが、いわゆるミニマリズムに限定されない日本あるいは東洋的な身体観の豊かさという自由」があった、という意味である。使用音(楽)は、山本直オリジナル他だが、ポスト・モダンからニュー・エイジを感じさせるものまでが並んだ。

場面ごとに、多様な身体の動きと舞台上の人数を増減させながらの、多彩なフォーメーションが組み合わされ、後半は、しだいに動きと音楽に勢いがついてゆくように感じられた。この辺りの様子や、最後の2体のミイラの演出なども、いわゆる「ミニマリズム」を超える部分だが、まだ他にも、大いに述べたいことがある。それは1980年代の東京では、〈古今東西の身体技法〉や〈身体の解体・解放のためのテクニック〉をさまざまに学ぶことが可能であったという記憶である。そのような時代の身体性にまつわる潮流を確かに踏まえた発想が、見事に融合しているように思われた。その上で、身体の動きに艶(つや)がり、それが気品であると感じられた。

第二部の最初は、若松美黄(1934~2012)による構成・振付・自演のソロ『獄舎の演芸』(Dancing in the Prison Cell/1977年初演)。筑波大学教授、日本女子体育大学教授、現代舞踊協会理事長、舞踊学界会長、WDA会長などを歴任した若松は、明るく、オープンで、ユーモアもあり、花のあるダンサーだった。若松の特にソロ作品は、若松自身の人柄の味がふんだんに発揮される場であったように思う。この日、それを演じたのは高比良洋だが、若松のダンシングの特徴がよく押さえられていた。会場でも、「若松先生が踊っているように見えたわね」の声が聞かれた。

若松美黄は、沙原聖子、津田信敏(1910~1984)、マダム・ノーラに師事。1967年に、「若松美黄・津田郁子自由ダンスカンパニー」を設立した。津田信敏は、戦前に渡独し、マックス・テルピス舞踊学校、ドイツ国立舞踊学校に学び、帰国後は前衛舞踊(当時のモダン・ダンスの最先端の呼称の一つ)家として活躍。この流れの中から「暗黒舞踏」が、生まれて行った。若松も当初は、後に「暗黒舞踏」を形成する面々とも接点を持った。

ただし若松の身体性は伸びやかで、たとえば関節部分に余裕を持たせた表情豊かな身体性で脚を跳ね上げる。だが「暗黒舞踏」同様、マイムや、クラウン(いわゆるピエロのような)の味付けもある。その自在な精神性を合わせて、他の「モダン・ダンス」の面々とは、一味違う魅力があったと言っても過言ではないかもしれない。自身では、「ポスト・モダン寄り」と言っていたように思うが、あえて「モダン・ダンス」をベース置いた上での、自在な「コンテンポラリー・ダンス」というところである。

今回の『獄舎の演芸』は、10分前後の小品。音楽は、クルト・ワイルの『第2シンフォニー』。舞台奥、しゃがみこんで頭を抱えたダンサーが、暗闇の中に映し出される。道化の味付けがあった。その後、床面を覆う大きなライティングは四角。プリズン(刑務所)の一室だからだ。そこからは上述のような、若松の伸びやかでユーモアや諧謔を取り込んだダンスが始まる。オープンな人柄でありつつ、容姿にも恵まれ、後には大学や舞踊界の重鎮を務めたエリート(優等生)的な側面を合わせ持った若松が、あえて囚人を演じるところに、若松らしい、「常識的な日常の自己」の枠組みから〈はみ出そう〉とする逆説が見て取れる気がした。

そして、さすがに前衛舞踊の津田信敏の薫陶を受け、初期の「暗黒舞踏」の面々とも接触した、若松らしい羽目の外し方だと思ったのは、当日のパンフレットにも写真があったラスト・シーンだ。しゃがみ込んだまま、ニットのシャツの裾(すそ)に内側から両足で踏み込み、腕を左右に広げたおどけた姿勢と表情で、低い姿勢のまま前へ進む。2つの膝頭(ひざがしら)の膨(ふく)みが、ニットのシャツを突き上げて目立ち、何だか〈女性の胸〉のようにも見える。ここが、また面白かった。

「世の中というものが本当に立派なものならば、世の中に根差した私の悲哀も立派なしっかりしたものであろうと思います。世の中がメチャクチャだと思う折に、悲哀も又、メチャクチャに分解するものだと思いたいのです」(若松美黄、1977) これも、当日のパンフレットにあった言葉だ。自分という「個」と、「世の中」を切り結ぶ創作意欲を内包した作品だったのだなあ、と思う。

最後は、庄司 裕(1928~2008)の『八月の庭』Garden in Augaust(1994年初演)。庄司 裕は、戦前に「ドイツ表現主義舞踊」を学んで帰国した江口隆哉・宮操子に学び、1970年に自らも文化庁派遣在外研修員として欧米に渡った。帰国後、1972年に「庄司裕モダンダンス・カンパニー」を設立。私たちの世代には、ダンスカンパニー「カレイドスコープ」(コンテンポラリー・ダンス)を主宰する二見一幸の師と言った方が、分かりやすいかもしれない。

当日のパンフレットに、「ダンサーの個性と美しさを存分に引き出す叙情溢れる庄司流の表現スタイルは、全国に伝播して日本のモダンダンスの大きな潮流をつくった」とあったように、この日の中でも、いわゆる「モダン・ダンス」のスタイルを際立たせていたのは、この作品だった。ひまわりの花を立体的にいくつも取り付けた、色鮮やかな傘が開かれ、それを軽装で黒衣の男性ダンサーが支え持っていたが、20名を超えるダンサー達が出演し、ユニゾンで踊る場面も少なくない約20分の上演時間を通して、傘を中心に、舞台の左右が対称的な演出・構成になっていた。

傘の中に〈2人の男性ダンサーが立つ〉、〈その後方にも女性ダンサーが隠れるように立つ〉などという演出は、何か不可思議さの暗示に見えた。また「八月」のひまわりには、敗戦記念日の印象も宿る。そして最後に、傘が前方に引き出され、倒れる演出には、やはり原子爆弾の落下の印象が重なった。このように意味内容に明確な抽象性を含むというのも、モダン的であるのかもしれない。そして衣装にも、ある特色がよく現れていた。女性達の衣装が、柔らかな薄手の布地のロング丈の揃いのドレスである。それは、〈舞踊のための衣装〉といった感が強いものだ。これぞ「モダン・ダンス」らしいスタイルの一つ、と言えるのではないだろうか。動きも、いわゆる舞踊言語を感じさせるものであった。

音楽は、安良岡章夫の『協奏的変容~ヴァイオリン、チェロとオーケストラのための』が用いられ、木管楽器や不調音階などが耳に残った。当日のパンフレットには、「庄司 裕 作品には、反戦3部作と言われた大作『聖家族』(1967)、原 民喜の『夏の花』(初出1947年)に触発されて原爆の惨状や悲劇を描いた『鎮魂歌・夏の花』(1985年)の数年後、同じく原爆を扱った『八月の花』を発表した。『八月の花』は声高に反戦を主張してはいないが、戦中派庄司 裕の“戦争を風化させてはいけない”という思いと平和への願いが感じられる」という記述があった。

本作は1994年の初演で、それは「阪神・淡路大震災」の前年である。その後、2011年の「東日本大震災」の惨事も重なり、時代の感受性がシフトした感もあるが、庄司が大戦の惨禍を脈々とテーマとし続けたことは印象的である。反戦3部作の3作品目は、『リゴドン~死の舞踏』(1997)であった。

国際的な「コンテンポラリー・ダンス」の潮流の広がりは、1980年代に始発したフランスの「ヌーヴェル・ダンス」の波を受けたとは言え、特に第2次大戦後の欧州の体制が崩壊した1990年前後の区切りめと無関係ではなく、2つに別れたドイツが元に戻った「ベルリンの壁の崩壊」、そしてソビエト連邦の崩壊にともなう「東西冷戦の終結」が、その発展の契機となったようだ。アジアでは、まだ朝鮮半島は統一されていないものの、日本においては2度の震災に見舞われたこともあり、時代の気分はしだいに「ポスト・戦後」へと移行して来た部分も、必然としてあるだろう。
*
まとめとして「モダン・ダンス」と「現代舞踊」の関係性について述べるが、今回の3作を見ても、「モダン・ダンス」=「現代舞踊」という考え方は、はなはだ偏向的なものであることが理解できると思う。藤井 公『砂漠のミイラ』は、「モダン・ダンス」の観念を超えて、「時代の身体性」を大きく反映していた。若松美黄『獄舎の演芸』は、「モダン・ダンス」のみならず「ダンス」の枠を超えたマイム身体の融合や前衛的な精神性を大いに含んでいた。庄司 裕『八月の庭』は「モダン・ダンス」を自認した作品だが、国内外の大きな時代の区切りめの最中にあって、重要なテーマを印象的に残す貴重な作品となった。そこには時代の空気を大きく吸った、振付家としてのアーティスティックな強い直観(インスピレーション)も働いたのではないか。

このように見て来ると、日本の「現代舞踊」のグループの作品は多岐に渡り、各々に振付家達が、人生をかけて創作した豊かな作品にあふれているように思われる。秀作だからこその再演ではあるが、日本の「コンテンポラリー・ダンス」の発展において、これらの様々な発想を含んだ資源が、有効に生かされることを願いたい。

ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018 舞踊評論 – 渡辺真弓

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

■「ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018」次世代へつなぐ創作の魂
渡辺真弓(ダンスマガジン  2019年3月号)

日本の創作舞踊のパイオニたちの作品を復元上演し、日本の洋舞の原点を振り返りつつ、未来を展望しようという試み、「ダンス・アーカイヴ」の第3弾が開催された。反響を呼んだ2014年、15年に続く今回は、戦中、戦後を駆け抜けた3人の個性派、藤井公、若松美黄、庄司裕にスポットを当てたものである。

上演に先立って、映像で各自の業績が紹介されたのはこまやかな配慮。作風は三者三様ながら、いずれも同時代の世の中を見つめる鋭い視線が反映されているのが新鮮である。

第1部の『砂漠のミイラ』(93年)は、構成・演出・振付藤井公・利子。秋谷豊の同名の詩集に触発されたもので、「蜃気楼」から「吟遊詩人」「魂の共鳴」などを経て「砂漠のミイラ」へと刻一刻と移り変わる砂漠の風景を描写した50分の力作である。何と言っても20名を超す群舞の迫力が圧倒的。山本直の音楽構成が変化に富んでいて、砂漠に眠るミイラの再生を想起させるような音響に耳を奪われる。隊列を組み、群を成し、身を震わせ、うねらせ……と動きは素朴ながら、たくましくダイナミックな群舞へと昇華させた点に、振付家の手腕が光る。

第2部最初の若松美黄作品『獄舎の演芸』(77年)は、囚人の目から見た世の中を描いた異色のソロ。音楽はクルト・ワイルほか。囚人の演芸とは意表を突くタイトルだが、高比良洋の10分間のソロには、孤独感や悲哀が凝縮され、時代の空気が漂う。伸縮性の衣裳にすっぽりくるまり身動きできない様子はどことなく滑稽でユーモラス。ひょうひょうと生きる姿に振付家の面影がよぎる。作品責任者は小柳出加代子、窪内絹子。

3本目の庄司裕振付『八月の庭』(94年)は、直接反戦のスローガンを掲げてはいないものの、じわじわと不安をあおり、クライマックスで主張を伝える手法があざやかである。作品責任者中井惠子。長いドレスを着て踊る女性たち、その背後に忽然と現れるひまわりの花を散りばめた傘。女性群舞の清楚な美しさを引き立たせたかと思うと、突如みなが倒れ、原爆の投下を暗示。美が破壊された空しさを悟らせる。安良岡章夫作曲の楽曲の弦の繊細な響きが効果的で、宝満直也、船木こころ、米沢麻佑子らが集中度の高い踊りで再演に貢献した。

先人たちの創作の魂を受け止め次につなげていく有意義なこの企画。企画運営委員会(代表正田千鶴)の労をねぎらうとともに、次回に向けて発展していくことを願う。

ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018 舞踊評論 – 関口紘一

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

■時代と共に生き、ダンスを創造した藤井公、若松美黄、庄司裕の作品が踊られた、ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018
関口紘一(web magazine Dance Cube  2018年12月)

このシリーズの第3回目、ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018では、藤井公『砂漠のミイラ』(1993年)、若松美黄『獄舎の演芸』(1977年)、庄司裕『八月の庭』(1994年)の3作品が上演された。冒頭、今回上演される三人の振付家の自作を語る肉声と代表的作品などの映像が、スクリーンに映し出された。

一曲目は藤井公・利子振付『砂漠のミイラ』である。原案はネオ・ロマンティシズムの詩を提唱し、寺山修司、新川和江などとともに活躍、登山家としてヒマラヤやシルク・ロードなどに行った秋谷豊の詩集『砂漠のミイラ』。音楽は山本直、Jon Hassell、Urban sax、Cinqui so、ツトム・ヤマシタ、Pigbag。

蜃気楼、トルファン、吟遊詩人、流砂、魂の共鳴、飛天、砂漠のミイラとそれぞれのシーン名が記されている。砂漠に2000年眠っていた、男女一組のミイラを見る。砂漠という文明のないむき出しの生と死が現れる地から命の根源を思う。そして命の営みを表す身体のリズムが次々と踊られていく。蜃気楼も流砂も魂も自然が繰り広げるひとつの姿である。動きは音楽と一体化しており、両者の間にほとんど葛藤は感じられない。それがこの作品の特徴であると同時に物足りなさでもあった。

二曲目は若松美黄のソロ作品『獄舎の演芸』。音楽はクルト・ワイルの『第2シンフォニー』とJ. ゲイ、J. C. ペープシュの『乞食のオペラ』から。周知のようにクルト・ワイルはベルトルト・ブレヒトと共同で『乞食オペラ』をリメイクし、傑作『三文オペラ』を創っている。 『獄舎の演芸』は高比良洋が踊った。青い上衣と白地に黒い縦縞の長いパンツ。腰に黄色の目立つベルト状の布を巻いている。腰紐を掛けられた囚人を連想させる衣装だ。独特の変則的な特徴のある動きを作って、獄舎という隔離された空間に閉じ込められた人間を表している。通常は劇場で行われる演芸を獄舎という全く異なった世界に移して見せるという、なかなか巧みにブレヒト的異化効果を使った舞踊を試みていた。私は良く知らないのだが、かつての若松の舞台の動きを彷彿させるダンスだったという人もいた。

三曲目は庄司裕の『八月の庭』。音楽は安良岡章夫の『協奏的変容~ヴァイオリン、チェロとオーケストラのための』。庄司は、原民喜の『夏の花』により『鎮魂歌・夏の花』を振付ている。『八月の庭』も原爆を想わせる衝撃的なエンディングだった。夏の盛りに咲き誇るひまわりの生命力と美しく流麗に展開する女性群舞により、鮮烈なラストシーンが一段と際立つ。モダンダンスによるいくつかの踊りを配置して、全体のフォーメーションをフレームの中に組み立てている。その構成を変化させながら、ひとつの極限へと至るのである。 当然のことだが、3作品ともそれぞれにインスピレーションを受けた文化的・時代的背景があり、興味深かった。そして時代への関わりは、今日のアーティストたちよりも密接で強かったと感じられた。時代とともに生き、そこに自身の魂が発するものを刻印しているのである。 (2018年11月24日 新国立劇場 中劇場)

ごあいさつ

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00  11月25日(日)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

【ごあいさつ: 2018年11月公演パンフレットより】

本公演は、日本独自の創作舞踊のパイオニアたちの作品を復元上演し、日本の洋舞の原点を確認すると共に「今」そして「未来」を展望する企画の第3弾になります。これまでの第1弾(2014年6月)、第2弾(2015年3月)は、いずれも大きな反響を呼び、日本の洋舞100年の蓄積を一堂に蘇らせた歴史的公演と好評を博しました。

今回は、戦後の日本においてモダンダンスのスタイルを創りあげて行った振付家の中から、3人の異才、藤井 公・若松美黄・庄司裕を取り上げました。名実ともに第3弾にふさわしい3者3様の個性が溢れる作品の魂を受けとめて、次世代を担う舞踊家たちが踊ります。   日本の洋舞100年の時を超えて、21世紀の舞踊芸術がますます発展することを願いますとともに、当公演開催にあたり、お力添えを頂きましたすべての方々に心より感謝申し上げます。

ダンス・アーカイヴ in JAPAN 企画運営委員会 代表正田千鶴(総合演出)

 

上演プログラム ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00  11月25日(日)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

第一部
オープニング Opening
藤井公「砂漠のミイラ」Mummies in the desert

第二部
若松美黄「獄舎の演芸」Dancing in the Prison Cell
庄司裕「八月の庭」Garden in August

第1部

オープニング Opening

藤井公「砂漠のミイラ」Mummies in the desert(1993初演)

タクラマカン砂漠は常時、生と死が向き合い、肉体は砂に、魂は天に帰って行った。

二千年眠り続け発掘された男女一対のミイラの命を源として各景が描かれ、作品が生まれた。主役は砂嵐・ラクダ・人間。

藤井作品は時代への深い反発の時を経て、「北斎、今」に代表される軽妙洒脱な世界へ。

そしてミニマルに身体のリズムを刻むコンテンポラリーな作品「砂漠のミイラ」へと繋がっていった。

蜃気楼(シンキロウ)→吐魯蕃(トルファン)→吟遊詩人→流沙→魂の共鳴→飛天→砂漠のミイラ

 

原案: 秋谷豊詩集「砂漠のミイラ」より

構成・演出・振付:藤井公・利子

作品責任者:藤井利子

作品補佐:上原尚美

音楽構成:山本直

使用音楽:山本直オリジナル/Jon Hassell「Courage」/Urban sax「perchman aux oreilles mouvantes」/Cinqui so「I Lodi Di Santeram」/ツトム・ヤマシタ「起即観音」/Pigbag「Papa’s Got A Brand New Pigbag」

美術:三宅景子 装置製作:森壮太 衣裳:武田晴子

 

出演:清水フミヒト 吉垣恵美 江積志織 松元日奈子 髙橋純一 海保文江 桜井陽

秋本里奈子 井上依里子 江尻美由紀 江藤裕里亜 上村有紀 北堀希 佐々木治子 寺﨑ゆいこ 田路紅瑠美 戸口未貴 中嶋野々子 林敏秀 半澤昇 藤井彩加 藤井友美 梁田妃美子 横田安規

 

Based on the Poem “Mummies in the desert”by AKIYA Yutaka

Direction & Choreography by FUJII Koh, FUJII Toshiko

Staged by FUJII Toshiko

Staging Assistant:UEHARA Naomi

Music Advisor, Additional Music by YAMAMOTO Nao

Set Designer:MIYAKE Keiko  Set Maker:MORI Sota  Costumes:TAKEDA Haruko

 

Dancers:SHIMIZU Fumihito  YOSHIGAKI Emi  EZUMI Shiori  MATSUMOTO Hinako  TAKAHASHI Junichi  KAIHO Fumie  SAKURAI Yo

AKIMOTO Rinako  INOUE Yoriko  EJIRI Miyuki  ETO Yuria  KAMIMURA Yuuki  KITAHORI Nozomi  SASAKI Haruko  TERASAKI Yuiko  TOHJI Kurumi  TOGUCHI Miki  NAKAJIMA Nonoko  HAYASHI Toshihide  HANZAWA Noboru  FUJII Ayaka  FUJII Tomomi  YANATA Himiko  YOKOTA Yasunori

 

砂漠のミイラ 撮影:池上直哉

砂漠のミイラ 撮影:池上直哉

砂漠のミイラ 撮影:池上直哉

第2部

若松美黄「獄舎の演芸」Dancing in the Prison Cell(1977初演)

 

「世の中というものが本当に立派なものならば、世の中に根差した私の悲哀も立派なしっかりしたものであろうと思います。世の中がメチャクチャだと思う折に、悲哀も又、メチャクチャに分解するものだと思いたいのです。」(若松美黄、1977)

若松が感じていた“世の中に根差した私の悲哀”を獄舎に閉じ込められた囚人の姿を借りて描き出した作品「獄舎の演芸」。“演芸”と題した若松の遊び心とバレエのステップやパントマイムを織り込んだ動きの切り替えや間合いが絶妙だ。若松の真骨頂が発揮されたソロ代表作である。

 

構成・振付:若松美黄

作品責任者:小柳出加代子 窪内絹子

作品補佐:片岡通人

協力:三町浩/若松美黄・津田郁子自由ダンススタジオ

音楽:クルト・ワイル「第2シンフォニー」/J.ゲイ、J.C.ペープシュ「乞食オペラ」

衣裳製作:森壮太

 

出演:高比良洋

 

Direction & Choreography by WAKAMATSU Miki

Staged by OYAIDE Kayoko and KUBOUCHI Kinuko

Staging Assistant:KATAOKA Michito

Cooperation:MIMACHI Hiroshi/Wakamatsu Miki & Tsuda Ikuko Free Dance Studio

Music:”Symphony No.2”by Kurt WEILL  “The Begger’s Opera”by John GAY and Johann Christoph PEPUSCH

Costume Maker:MORI Sota

 

Dancer:TAKAHIRA Yo

 

獄舎の演芸 撮影:池上直哉

獄舎の演芸 撮影:池上直哉

獄舎の演芸 撮影:池上直哉

 

庄司裕「八月の庭」Garden in August(1994初演)

 

庄司裕作品には、反戦3部作と言われる大作「聖家族」(1967)、原民喜の『夏の花』に触発されて原爆の惨状や悲劇を描いた「鎮魂歌・夏の花」(1985)、そして「リゴドン~死の舞踏」(1997)がある。庄司は「鎮魂歌・夏の花」の数年後、同じく原爆を扱った「八月の庭」を発表した。「八月の庭」は声高に反戦を主張してはいないが、戦中派庄司裕の“戦争を風化させてはいけない”という思いと平和への願いが感じられる。

「八月の庭」でも見られる、ダンサーの個性と美しさを存分に引き出す叙情溢れる庄司流の表現スタイルは、全国に伝播して日本のモダンダンスの大きな潮流をつくった。

 

構成・振付:庄司裕

作品責任者:中井惠子

作品補佐:近藤明美

協力:小澤里香子 荒公乃

音楽:安良岡章夫「協奏的変容~ヴァイオンリン、チェロとオーケストラのための」

美術:白戸規之

衣裳製作:並河万里子

 

出演:宝満直也 船木こころ 米沢麻佑子 岡野友美子 玉田光子

石井武 江口香織 大槻沙絵 大野木純子 片山葉子 小室眞由子 近藤みどり 佐藤樹理愛 杉原萌 須﨑汐理 鷹栖歩莉 田中麻友美 冨田奈保子 名越晴奈 藤村港平 南帆乃佳 山西香澄

 

本作品は、公益財団法人日本交響楽振興財団主催「現代日本のオーケストラ音楽 第31回演奏会」の招待作品として演奏された録音音源を使用しています。

演奏 ヴァイオリン:加藤知子  チェロ:上村昇  管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団  指揮:小松一彦

 

Direction & Choreography by SHOJU Hiroshi

Staged by NAKAI Keiko

Staging Assistant:KONDO Akemi

Cooperattion:OZAWA Rikako  ARA Tomono

Music: “Metamorphose concertante pour violon, violoncelle et orchestre”by YASURAOKA Akio

KATO Tomoko(vl.), KAMIMURA Noboru(vc.) and Tokyo Philharimonic Orchestra conducted by KOMATSU Kazuhiko

Set Designer:SHIRATO Noriyuki  Costume Maker:NAMIKAWA Mariko

 

Dancers:HOMAN Naoya  FUNAKI Kokoro  YONEZAWA Mayuko  OKANO Yumiko  TAMADA Mitsuko

ISHII Takeru  EGUCHI Kaori  OTSUKI Sae  ONOGI Junko  KATAYAMA Yoko  KOMURO Mayuko  KONDO Midori  SATO Juria  SUGIHARA Moe  SUSAKI Shiori  TAKANOSU Ayuri  TANAKA Mayumi  TOMITA Naoko  NAGOSHI Haruna  FUJIMURA Kohei  MINAMI Honoka  YAMANISHI Kasumi

 

八月の庭 撮影:池上直哉

八月の庭 撮影:池上直哉

八月の庭 撮影:池上直哉

八月の庭 撮影:池上直哉

 

スタッフ STAFF

照明:斎藤 香  Lighting Designer:SAITO Kaori

照明助手:榊枝拓也  Assistant to Lighting designer:SAKAKIEDA Takuya

音響:山本 直  Sound:YAMAMOTO Nao

オープニング映像:naoeikka   Projection:naoeikka

舞台監督:柴崎 大  Stage Manager:Shibasaki Dai

舞台監督助手:小林裕二  田村要  小黒亜衣子  Assistant Stage Managers: KOBAYASHI Yuji, TAMURA Kaname, OGURO Aiko

舞台・照明・音響操作 Stage, Lighting and Sound Crew:

新国立劇場技術部   New National Theatre Technical Department

シアターコミュニケーションシステムズ Theater Communication Systems

アート・ステージライティング・グループ ART STAGELIGHTING GROUP

フリックプロ Flic Pro

臼井悠史(舞台)/安達久美子(照明)/信澤祐介(音響)/鈴木大介(映像)/小原淑克(大道具)

USUI Yuji(Stage)/ADACHI Kumiko(Lighting)/NOBUSAWA Yusuke(Sound)/SUZUKI Daisuke(Projection)/KOHARA Yoshikatsu(Master Carpenter)

 

芸術監督:大原永子  Artistic Director:OHARA Noriko

制作:新国立劇場  Produced by New National Theatre, Tokyo

制作協力:(一社)現代舞踊協会

Collaborated with CONTEMPORARY DANCE ASSOCIATION of JAPAN(CDAJ)

ダンス・アーカイヴ in JAPAN(DAiJ)企画運営委員会:

正田千鶴 SHODA Chizu

片岡康子 KATAOKA Yasuko  加藤みや子 KATO Miyako

波場千恵子 HABA Chieko  池田恵巳 IKEDA Megumi

第一部

オープニング Opening

藤井公「砂漠のミイラ」Mummies in the desert

第二部

若松美黄「獄舎の演芸」Dancing in the Prison Cell

庄司裕「八月の庭」Garden in August

1

オープニング Opening

藤井公「砂漠のミイラ」Mummies in the desert1993初演)

タクラマカン砂漠は常時、生と死が向き合い、肉体は砂に、魂は天に帰って行った。

二千年眠り続け発掘された男女一対のミイラの命を源として各景が描かれ、作品が生まれた。主役は砂嵐・ラクダ・人間。

藤井作品は時代への深い反発の時を経て、「北斎、今」に代表される軽妙洒脱な世界へ。

そしてミニマルに身体のリズムを刻むコンテンポラリーな作品「砂漠のミイラ」へと繋がっていった。

蜃気楼(シンキロウ)吐魯蕃(トルファン)→吟遊詩人→流沙→魂の共鳴→飛天→砂漠のミイラ

原案: 秋谷豊詩集「砂漠のミイラ」より

構成・演出・振付:藤井公・利子

作品責任者:藤井利子

作品補佐:上原尚美

音楽構成:山本直

使用音楽:山本直オリジナル/Jon HassellCourage/Urban saxperchman aux oreilles mouvantes/Cinqui soI Lodi Di Santeram/ツトム・ヤマシタ「起即観音」/PigbagPapa’s Got A Brand New Pigbag

美術:三宅景子 装置製作:森壮太 衣裳:武田晴子

出演:清水フミヒト 吉垣恵美 江積志織 松元日奈子 髙橋純一 海保文江 桜井陽

秋本里奈子 井上依里子 江尻美由紀 江藤裕里亜 上村有紀 北堀希 佐々木治子 寺﨑ゆいこ 田路紅瑠美 戸口未貴 中嶋野々子 林敏秀 半澤昇 藤井彩加 藤井友美 梁田妃美子 横田安規

Based on the Poem “Mummies in the desert”by AKIYA Yutaka

Direction & Choreography by FUJII Koh, FUJII Toshiko

Staged by FUJII Toshiko

Staging Assistant:UEHARA Naomi

Music Advisor, Additional Music by YAMAMOTO Nao

Set Designer:MIYAKE Keiko Set Maker:MORI Sota Costumes:TAKEDA Haruko

Dancers:SHIMIZU Fumihito YOSHIGAKI Emi EZUMI Shiori MATSUMOTO Hinako TAKAHASHI Junichi KAIHO Fumie SAKURAI Yo

AKIMOTO Rinako INOUE Yoriko EJIRI Miyuki ETO Yuria KAMIMURA Yuuki KITAHORI Nozomi SASAKI Haruko TERASAKI Yuiko TOHJI Kurumi TOGUCHI Miki NAKAJIMA Nonoko HAYASHI Toshihide HANZAWA Noboru FUJII Ayaka FUJII Tomomi YANATA Himiko YOKOTA Yasunori

*作品舞台写真 別添1-1,2,3 いずれも 撮影:池上直哉

2

若松美黄「獄舎の演芸」Dancing in the Prison Cell1977初演)

「世の中というものが本当に立派なものならば、世の中に根差した私の悲哀も立派なしっかりしたものであろうと思います。世の中がメチャクチャだと思う折に、悲哀も又、メチャクチャに分解するものだと思いたいのです。」(若松美黄、1977

若松が感じていた“世の中に根差した私の悲哀”を獄舎に閉じ込められた囚人の姿を借りて描き出した作品「獄舎の演芸」。“演芸”と題した若松の遊び心とバレエのステップやパントマイムを織り込んだ動きの切り替えや間合いが絶妙だ。若松の真骨頂が発揮されたソロ代表作である。

構成・振付:若松美黄

作品責任者:小柳出加代子 窪内絹子

作品補佐:片岡通人

協力:三町浩/若松美黄・津田郁子自由ダンススタジオ

音楽:クルト・ワイル「第2シンフォニー」/J.ゲイ、J.C.ペープシュ「乞食オペラ」

衣裳製作:森壮太

出演:高比良洋

Direction & Choreography by WAKAMATSU Miki

Staged by OYAIDE Kayoko and KUBOUCHI Kinuko

Staging Assistant:KATAOKA Michito

Cooperation:MIMACHI Hiroshi/Wakamatsu Miki & Tsuda Ikuko Free Dance Studio

Music:”Symphony No.2”by Kurt WEILL “The Begger’s Opera”by John GAY and Johann Christoph PEPUSCH

Costume Maker:MORI Sota

Dancer:TAKAHIRA Yo

*作品舞台写真 別添2-1,2,3 いずれも 撮影:池上直哉

庄司裕「八月の庭」Garden in August1994初演)

庄司裕作品には、反戦3部作と言われる大作「聖家族」(1967)、原民喜の『夏の花』に触発されて原爆の惨状や悲劇を描いた「鎮魂歌・夏の花」(1985)、そして「リゴドン~死の舞踏」(1997)がある。庄司は「鎮魂歌・夏の花」の数年後、同じく原爆を扱った「八月の庭」を発表した。「八月の庭」は声高に反戦を主張してはいないが、戦中派庄司裕の“戦争を風化させてはいけない”という思いと平和への願いが感じられる。

「八月の庭」でも見られる、ダンサーの個性と美しさを存分に引き出す叙情溢れる庄司流の表現スタイルは、全国に伝播して日本のモダンダンスの大きな潮流をつくった。

構成・振付:庄司裕

作品責任者:中井惠子

作品補佐:近藤明美

協力:小澤里香子 荒公乃

音楽:安良岡章夫「協奏的変容~ヴァイオンリン、チェロとオーケストラのための」

美術:白戸規之 

衣裳製作:並河万里子

出演:宝満直也 船木こころ 米沢麻佑子 岡野友美子 玉田光子

石井武 江口香織 大槻沙絵 大野木純子 片山葉子 小室眞由子 近藤みどり 佐藤樹理愛 杉原萌 須﨑汐理 鷹栖歩莉 田中麻友美 冨田奈保子 名越晴奈 藤村港平 南帆乃佳 山西香澄

本作品は、公益財団法人日本交響楽振興財団主催「現代日本のオーケストラ音楽 第31回演奏会」の招待作品として演奏された録音音源を使用しています。

演奏 ヴァイオリン:加藤知子 チェロ:上村昇 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:小松一彦

Direction & Choreography by SHOJU Hiroshi

Staged by NAKAI Keiko

Staging Assistant:KONDO Akemi

Cooperattion:OZAWA Rikako ARA Tomono

Music: “Metamorphose concertante pour violon, violoncelle et orchestre”by YASURAOKA Akio

KATO Tomoko(vl.), KAMIMURA Noboru(vc.) and Tokyo Philharimonic Orchestra conducted by KOMATSU Kazuhiko

Set Designer:SHIRATO Noriyuki Costume Maker:NAMIKAWA Mariko

Dancers:HOMAN Naoya FUNAKI Kokoro YONEZAWA Mayuko OKANO Yumiko TAMADA Mitsuko

ISHII Takeru EGUCHI Kaori OTSUKI Sae ONOGI Junko KATAYAMA Yoko KOMURO Mayuko KONDO Midori SATO Juria SUGIHARA Moe SUSAKI Shiori TAKANOSU Ayuri TANAKA Mayumi TOMITA Naoko NAGOSHI Haruna FUJIMURA Kohei MINAMI Honoka YAMANISHI Kasumi

*作品舞台写真 別添 3-1,2,3,4 いずれも 撮影:池上直哉

スタッフ STAFF

照明:斎藤 香  Lighting Designer:SAITO Kaori

照明助手:榊枝拓也  Assistant to Lighting designer:SAKAKIEDA Takuya

音響:山本 直 Sound:YAMAMOTO Nao

オープニング映像naoeikka Projection:naoeikka

舞台監督:柴崎 大 Stage Manager:Shibasaki Dai

舞台監督助手:小林裕二 田村要 小黒亜衣子  Assistant Stage Managers: KOBAYASHI Yuji, TAMURA Kaname, OGURO Aiko

舞台・照明・音響操作 Stage, Lighting and Sound Crew

新国立劇場技術部   New National Theatre Technical Department

シアターコミュニケーションシステムズ Theater Communication Systems

アート・ステージライティング・グループ ART STAGELIGHTING GROUP

フリックプロ Flic Pro

臼井悠史(舞台)/安達久美子(照明)/信澤祐介(音響)/鈴木大介(映像)/小原淑克(大道具)

USUI Yuji(Stage)/ADACHI Kumiko(Lighting)/NOBUSAWA Yusuke(Sound)/SUZUKI Daisuke(Projection)/KOHARA Yoshikatsu(Master Carpenter)

芸術監督:大原永子  Artistic Director:OHARA Noriko

制作:新国立劇場  Produced by New National Theatre, Tokyo

制作協力:(一社)現代舞踊協会

Collaborated with CONTEMPORARY DANCE ASSOCIATION of JAPAN(CDAJ)

ダンス・アーカイヴ in JAPAN(DAiJ)企画運営委員会

正田千鶴 SHODA Chizu

片岡康子 KATAOKA Yasuko 加藤みや子 KATO Miyako

波場千恵子 HABA Chieko 池田恵巳 IKEDA Megumi

振付家プロフィール(生年月順)

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00  11月25日(日)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

庄司 裕 SHOJI Hiroshi(1928-2008年)

庄司裕

 

 

 

 

 

 

 

江口隆哉・宮操子に師事。1966年、「巨人と玩具」が全国舞踊コンクール創作部門第一位・高松宮賞を受賞し注目を浴びる。翌67年、話題作「聖家族」、続く68年「祭礼」を発表。69年、芸術選奨文部大臣賞受賞。70年文化庁派遣在外研修員として欧米にて研修。帰国後72年に庄司裕モダンダンスカンパニーを設立し、「ミサ曲」(73年、芸術祭主催公演)、「日本海」(75年、芸術祭賞)を発表、77-95年、文化庁移動芸術祭現代舞踊公演で約40都市巡演、「聖家族」「恋人たち」「家族の晩餐」などを上演した。海外公演も多く、日ソ友好使節公演、日韓友好創作舞踊祭、文化庁日米交流でアメリカ公演。舞踊ペンクラブ賞、芸術祭優秀賞、江口隆哉賞受賞の他、紫綬褒章(92)、旭日小綬章(98)を受章。新国立劇場開場記念公演「パノラマ展Aプログラム」では「リゴドン~死の舞踏」(1997)を発表した。

 

 

 

藤井 公 FUJII Koh(1928-2008年)

藤井公

 

 

 

 

 

 

 

小森 敏に師事。1961年に妻の利子とともに東京創作舞踊団を結成し「天国の異邦人」を発表、2008年まで毎年新作発表を続けた。創作活動と共に後進の指導にあたり、海外公演では、文化庁日米舞台交流公演、韓国、タイ、オーストラリア、中国公演を行った。69年芸術祭優秀賞をはじめ、84年江口隆哉賞、87ニムラ舞踊賞、95年紫綬褒章、東京新聞・舞踊芸術賞、2001年旭日小綬章など受賞多数。71年に文化庁派遣在外研修員として欧米を視察。主な作品に「芽むしり仔撃ち」、「癒えぬ川」、「鐘」、「天如」、「砂漠のミイラ」、「ヒマラヤの狐」、「砂漠のランボー」など。新国立劇場では開場記念公演「パノラマ展Bプログラム」にて「風市」(1998)を振り付けている。67年埼玉県舞踊協会設立。多面的企画で芸術・育成の事業の推進に尽力した。

 

 

 

 

若松美黄 WAKAMATSU Miki(1934-2012年)

若松美黄

 

 

 

 

 

 

 

沙原聖子、津田信敏、マダム・ノーラに師事。1967年若松美黄・津田郁子自由ダンスカンパニーを設立し、「回復路線」を皮切りに42年連続公演。個性的な客演も多く、舞踏では「続・禁色」(土方巽)、ポストモダンでは「花は赤い」(厚木凡人)などがある。73年文化庁派遣在外研修員(米・仏にて研修)。芸術祭優秀賞受賞作には「ふり」、「村へ帰る」(「獄舎の演芸」が含まれている)、「暗黒から光へ」他がある。また「舞へまへ蝸牛」では江口隆哉賞、舞踊芸術賞を受賞。99年紫綬褒章、10年旭日小綬章受章。パリ、ソウル、ニューヨーク、北京他で海外公演、国際コンクール審査員も務める。新国立劇場では99年「凡人対美黄」公演で「礼儀正しい隠蔽」を振付・出演。筑波大学教授、日本女子体育大学教授、現代舞踊協会理事長、舞踊学会会長、WDA環アジア会長等を歴任した。

日本の洋舞100年・第3弾 ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018

ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018
戦後日本の 3人の異才たち ―庄司裕・藤井公・若松美黄―

日時
2018 年 11 月 24 日(土)開演14:00  11月25日(日)開演14:00
会場
新国立劇場中劇場

日本独自の創作舞踊のパイオニアたちの作品を復元上演し、日本の洋舞の原点を確認すると共に「今」そして「未来」を展望するダンス・アーカイヴ in JAPANの第三弾。第一弾(2014年6月)第二弾(2015年3月)とも高評価だったことを受け、この度は新国立劇場側からのオファーを受けて実現しました。

戦後高度経済成長期の日本において、モダンダンスのスタイルを創りあげて行った振付家の中から、庄司裕・藤井 公・若松美黄の作品を上演しました。

庄司 裕、藤井 公はダンス・アーカイヴ in JAPAN第一弾の公演で代表作を紹介した江口隆哉(1900-1977)、小森 敏(1887-1951)にそれぞれ師事し、数々の名作を発表。アバンギャルドな作風を持つ舞踊家・津田信敏(1910-1984)に師事した若松美黄は、自由な表現だけでなくクラシック・バレエのテクニックをも十分に生かし、多様な作品を生み出しました。3名の振付家はいずれも独自のダンス・スタイルを確立し、新国立劇場でも開場記念の97/98および98/99シーズンに作品を発表しています。

名実ともに第3弾として、3者3様の魅力に溢れた充実のプログラムとなりました。

1.ダンス・アーカイヴin JAPAN(DAiJ)企画運営委員会 代表 正田千鶴あいさつ
2.上演プログラム(2018/2019シーズン新国立劇場ダンス公演)
3.振付家プロフィール
4.舞踊評論
関口紘一(web magazine Dance Cube 2018年12月)
渡辺真弓(ダンスマガジン 2019年3月号)
原田広美(artissue-WEB12)